妻へ

妻へ、今晩は申し訳なかった。

病院に電話をかけて、安心したのに

私が

「意地悪な事は言っちゃ駄目だよ」

と、諭したために

反対に、すっかり安らかになった気は失せて

眠れなくさせてしまったね。

 

そうして

あなたから、色々言われたけれど

悪魔、は言いすぎだと思うけれど

私は悪人、であって

偽善者であることも、これは自ら認めている。

 

親鸞上人は

人間だれしもこころにサソリを飼っていて

であるからして善人の根拠を鋭く突いただろう。

 

この世に善人はいない、とまでは言っていないけれど

阿弥陀如来の救いの目当ては

わたしたち悪人救済であるように謳われている。

 

まあ、よそう

こんな議論も、親鸞上人自身が戒めたことであるから。

 

僕の話しをしよう。

僕は、善人も悪人もいると考えている。

しかし善人は少なく、その中に私が入っている筈がない。

私は悪人である。

心にサソリを飼う身である。

 

そうして、その、悪人であるという自覚の上に

今から在家でも仏の道を目指そうと思うけれど・・・うーん

仏教には「中・中」という言い方があって

何事もほどよい事が求められているから

まずは「中・中」に安定したい。

 

勿論、善人であるべきかな、と思うときもある。

しかしなれっこないものはなれっこないのである。

 

もう一度問うつもりだ。

僕に、着いてきてくれるかい?勿論、味方にはなるよ。

また教えておくれ。

じゃあね。愛している。